歯周病の基礎知識
歯周病は、かつて「歯槽のう漏」と呼ばれることの多かった病気です。主な原因となるプラーク(歯垢)は、単なる食べカスなどではなく、細菌の塊といえる物体です(さらにプラークが石灰化したものを歯石といい、除去には専用器具が必要)。中には人体に有害な菌も複数存在し、たとえば、酪酸という悪臭の原因にも細胞組織を破壊する原因にもなる強酸を発生する菌も。それら歯周病菌によって引き起こされる症状は実に様々で、現在も多くの専門家によって研究されています。
以下が歯周病にかかりやすい人といえます。
●喫煙者→タバコに含まれる化学物質などが原因に
●お酒好きな方→お酒そのものではなく、飲酒により歯磨きを怠ってしまったりするため
●粘り気のある食べ物が大好きな方→粘着性の高さからプラークが形成されやすい
●甘い物が大好きな方→プラークを形成する細菌の活動が糖分によって活発になるため
●歯並びの悪い方→歯ブラシが届きにくい箇所があるため、プラークが溜まりやすい
●口呼吸される方→口内が乾燥すると、細菌の活動が活発になるため
●妊婦→ホルモンの影響で歯肉の炎症が起こりやすくなるため
このほかにも様々な原因があり、遺伝的な要因も考えられます(歯周病自体は遺伝しません)。現在の自分が歯周病にかかりやすいかどうかを知るには、細菌検査をされるとよいでしょう。
歯周病は段階的に進行していき、特に初期を歯肉炎といいます。主な症状は…
●歯と歯肉の間に白いプラークが確認できる
●歯肉の縁が腫れ、触るとブヨブヨする
●歯磨きをすると血が出る
これらはあくまでも歯肉の表面部分で起こる炎症によるものなので、この段階でなら元の状態に戻すことができます。が、症状が進んでしまうと…
●歯と歯肉に大量のプラークが付着する
●歯ぐきの腫れがひどくなり、出血の頻度も多くなる
●歯肉が赤くなり、歯が左右にぐらつき始める
さらに重度になると…
●歯の土台となる骨がほとんど溶け、歯が前後にもぐらつくようになる
●歯肉が赤紫に変色し、血や膿が頻繁に出る
●物を噛むと激しい痛みを伴う
一度失われてしまったものが完全に元通りになることはありません。歯周病は自覚症状がほとんどない病気で、気づいた時には手遅れ…という場合も多いですから、予防こそがもっとも大切なのです。
一般に歯周病は40歳前後に発症する場合が多いのですが、歯が生えた時点からプラークは蓄積され始めます。ですから、日頃の歯磨きが特に大事で、次のようなポイントに気をつけることで、予防効果が高まります。
●自分に合った歯ブラシを使う
●就寝の直前と起床直後に歯を磨く
●歯ブラシで磨ききれない歯と歯のすき間は、歯間ブラシやデンタルフロスを用いる
●薬効成分入りの練り歯磨きなどに頼りすぎず、ブラッシングでプラークを取り除くように意識するもちろん、定期的に歯医者さんに通うことが有効なのは言うまでもないことです。