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アメリカ砂糖業界の闇
2015年04月24日
アメリカ砂糖業界が政府の虫歯研究に関与していたのではないかという論文が先月の『PLOS Medicine』に掲載されました。
論文の格子については『AFP』も報じています。
砂糖業界団体は1950年の時点で砂糖と虫歯の関係を把握していたにもかかわらず、1960年代から70年代にかけての米政府の虫歯に関する公衆衛生対策に干渉し、それによって政策が誘導されていたということです。
結果、米国立衛生研究所(NIH)は砂糖消費削減対策を打ち出すことはしませんでした。
政府の政策により砂糖消費量が減少することを業界が危惧していたと思われます。
Newsweek( 2014.6.27) より
この砂糖業界の活動(シュガー・ロビー)については、2014年6月の『Newsweek』でも取り上げられています。
ここでは、2003年にアメリカ砂糖協会の会長が世界保健機関(WHO)宛に送った手紙について取り上げられており、WHOが砂糖摂取量削減を推奨した場合、米議会へ働きかけて資金提供を止めることを示唆する内容であったことなどが報じられています。
(結果、翌年のWHO健康政策では砂糖について言及されなかった!)
ここでちょっと話は飛びますが、
先日、ミラクルフルーツなるものを初めて食べてみました。
それ自体はほのかな甘みがある程度の小さな赤い実のフルーツで、それほど特徴のある味ではないのですが、その直後に酸味のあるものを食べるとものすごく甘く感じます。ほんとうに驚きました。
このフルーツに含まれるミラクリンという成分の効果です。
レモンなんかまるごとかじることができますし(とても甘い!)、イチゴはイチゴジャムを食べているように感じます。
子供が「これあれば砂糖いらないよね?」と言っていたくらいです。
その時私は「確かにそうだね」くらいに思っていましたが、先の記事を目にした時にもしやと思い調べてみると、実際にアメリカで30年以上前にミラクリンを利用した製品を発売しようとした会社がありました。
ロバート・ハーベイという人が立ち上げたミラリン社という会社です。
『BBC NEWS』の記事によると、アメリカ食品医薬品局(FDA)へ製品の認可を申請した当初はその関係もスムーズにいっていたものの、その後突然ストップをかけられたため彼の会社は倒産してしまいました。
業界からFDAに何らかの圧力がかかったのではないかともみられています。
業界団体やFDAはこの件での取材には応じていないようです。
疾患としての虫歯を減少させるためには公衆衛生政策はとても重要な鍵になります。
純粋に科学的、医学的なアプローチだけで事が進めば、もっと早い時期にアメリカだけではなく、世界の虫歯は減少していたかもしれません。
歯科医師の立場から考えると、砂糖の摂取をある程度制限することは必要と思いますが、ゼロにすることはやはり現実的ではありません。
その影響を考えて、摂取の仕方や摂取後のケアについてしっかり把握しておくことが大切だと思います。
ちなみに私は甘党です、、、