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歯周病菌と大腸がん
2018年07月16日
歯周病が全身へ与える影響に関する新たな報告がありました。
医療従事者向けウエブサイトのメディカルトリビューンに「口腔内の歯周病菌が大腸がん発生に関与」と題された記事です。
https://medical-tribune.co.jp
この記事の元となった論文はGut(2018年6月22日オンライン版)に掲載されています。
https://gut.bmj.com/content/early/
2018/06/22/gutjnl-2018-316661.long
横浜市立大学で行われたこの研究では、口腔常在菌の一つで歯周病進行にも関与することがあるFusobacterium nucleatum(F. nucleatumフソバクテリウム ヌクレアタム )が大腸がん患者の4割以上で唾液とがん組織の両方から検出され、それらは共通の菌株であったことが報告されています。
通常フソバクテリウム・ヌクレアタムは腸から検出されることは少ないとのことで、この結果から、がん組織のフソバクテリウム・ヌクレアタムは口腔由来であることが疑われます。
現段階ではどのようにフソバクテリウム・ヌクレアタムが大腸へ感染していくのかは不明ですが、この記事でも述べられているように、感染ルートとメカニズムが解明されれば、口腔内細菌のコントロールが大腸がん予防に繋がる可能性も見えてきそうです。
このように、ご自身のお口の中の細菌を知ることは、単に虫歯や歯周病の問題に留まらず、全身の疾患リスクを把握する上でも重要です。
当院では、最新の16Sメタゲノム解析という手法によりお口の細菌を詳細に検査することができます。ご興味のある方はお声掛けください。