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アンジーの選択
2013年06月10日
先日、米女優のアンジェリーナ・ジョリーが、乳癌予防として両乳房の摘出手術を受けたという報道がありました。
ニューヨークタイムズ紙を通して彼女自身が発表したものです。
http://www.nytimes.com/2013/05/14/opinion/my-medical-choice.html?_r=2&
多くのメディアで取り上げられましたので、ご存知の方は多いと思います。
私も以前からそのような処置があるというのは知っていましたが、やはり女優である彼女がそのような決断を下し、
公表したということに少なからず驚かされました。
とても勇気のある強い人です。
BRCA1という遺伝子の変異があると、87%の確率で乳癌リスクがあり、
予防的手術によって5%に低下させることができるということです。
このような数字を提示されると、予防的手術無しではいつ癌になるかという不安が常につきまとってしまいます。
しかし、実際の発症リスクは個人によって差があり、
短期的な検診により早期発見による対応の方が有益であるという意見もあります。
ここで必要なことは、そのリスクに向き合い、その人にとって最善の選択をするための十分な情報の提供であると思います。
現在の時点で摘出以外に効果的な予防方法が無いとしても、今後、切除以外の疾病リスク低減方法の研究、臨床導入を
早急に進めることが重要であることは言うまでもありません。
歯科においては、歯周病が狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病など全身的疾患のリスク因子であることがわかってきています。
そのようなことから、予め歯を抜いてしまうという選択もあるのでしょうか?
まだ健康な歯を予防的に抜歯する、ということは、歯科医師としても悲しいことです。
このニュースを知って、あらためて予防医療の難しさと重要性を実感しました。
今医療に求められていることの一つは“予防処置の選択肢を増やすこと”だと思います。
[世田谷区三軒茶屋の歯医者なら『原井デンタルオフィス』]