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チームバチスタ
2013年08月22日
作家で現役の医師でもある海堂尊氏の講演を聞く機会がありました。
氏の体験や著作を通して、日本の医療の現状をわかりやすく解説されました。
講演の内容もたいへん興味深いものでしたが、
実は、それよりも講演の最後に質疑応答に立った一人の女子高校生が強く印象に残っています。
その高校生曰く、
「“チームバチスタの栄光”を読んで医師になりたいと思いました。
自分には医療にたずさわりたいという強い気持ちがあります。
ただ、自分は勉強がそれほどできるわけではなく、優秀な学生ではありません。
このような私が医師を目指すことは社会的に許されるのでしょうか?
もっと勉強のできる人が医師になるべきではないかとも思ってしまいます。」
と、概ねそのような内容でした。
文章にするとなんだかとてもあっさりした感じですが、
実際には、本人の真剣な思いが本当に伝わってくるような話し方でした。
私が驚かされたのは、彼女の医療に対する視点と堂々とした発言態度です。
何百人もいる聴衆の中で臆することもなく堂々とそのような発言ができることは、
自分が高校生の時のことを考えるととても信じられません。
彼女は、社会的な有益性という視点から自分の行動を評価しようとしており、
自分個人の進路をもっと大きな立ち位置から俯瞰しています。
高校生にして自らこのような考え方を持てるのはスゴいと感心しました。
その質問に対して海堂氏は、
「君のような人が医師を目指すべきです。医療現場の人が聞いたら涙します。」
と答えていました。
私も同感です。
このようなシーンを目の当たりにすると、
海堂氏の小説は単なるエンターテイメントというだけではなく、
若い人に医療を志す強いモチベーションを与えることによって将来有望な医療人を発掘する、という役割も
担っているように感じます。
私は歯科医師になって20年を過ぎましたが、
医師にとって医療に対するモチベーションがいかに重要か、ということを再認識しています。
心の入らない技術はいつか破綻します。
質問に立ったその高校生には、高い志を持った医師を目指していただきたいと切に思います。
[世田谷区三軒茶屋の歯医者なら『原井デンタルオフィス』]