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2015年 日本歯周病学会 in 幕張
2015年05月21日
5月15日と16日の両日、日本歯周病学会が幕張メッセで開催されました。
今回の学会では、奈良で開業されている河野先生や神奈川歯科大学歯周病科の三辺教授らのグループと共同でポスター発表を行いました。
発表タイトルは「初診受診患者のPorphyromonas gingivalisに対する血漿抗体価と歯周病重症度の関連性」です。
河野先生が以前から継続して行っている研究で今回の発表者でもあります。
私は主に臨床データの解析を担当しました。
Porphyromonas gingivalis (P.g菌)は代表的な歯周病菌のひとつで、このP.g菌の体内への感染度を示す血漿抗体価が歯周病の進行に従ってどのように変化しているかを調べました。
結果として、重症度が高くなるに従ってP.g菌血漿抗体価も高くなる傾向にあることから、この検査が歯周病重症度のスクリーニング診断に有効であると結論づけました。
しかし、重篤な歯周病では必ずしも抗体価が高くならないケースも認められ、歯周病が一定以上重症化するには歯周病菌(P.g菌)以外の複合的な要因も強く関与していることが示唆されます。
臨床的には、歯ぎしりやくいしばりを含めた咬み合わせの異常、糖尿病などの全身疾患、喫煙、などの条件があると歯周病は重症化しやすくなります。
その他に遺伝的な要因や免疫的な問題も関連しているかもしれません。
今後も、より多角的な視点から歯周病を解析する必要があると思われます。
アメリカ砂糖業界の闇
2015年04月24日
アメリカ砂糖業界が政府の虫歯研究に関与していたのではないかという論文が先月の『PLOS Medicine』に掲載されました。
論文の格子については『AFP』も報じています。
砂糖業界団体は1950年の時点で砂糖と虫歯の関係を把握していたにもかかわらず、1960年代から70年代にかけての米政府の虫歯に関する公衆衛生対策に干渉し、それによって政策が誘導されていたということです。
結果、米国立衛生研究所(NIH)は砂糖消費削減対策を打ち出すことはしませんでした。
政府の政策により砂糖消費量が減少することを業界が危惧していたと思われます。
Newsweek( 2014.6.27) より
この砂糖業界の活動(シュガー・ロビー)については、2014年6月の『Newsweek』でも取り上げられています。
ここでは、2003年にアメリカ砂糖協会の会長が世界保健機関(WHO)宛に送った手紙について取り上げられており、WHOが砂糖摂取量削減を推奨した場合、米議会へ働きかけて資金提供を止めることを示唆する内容であったことなどが報じられています。
(結果、翌年のWHO健康政策では砂糖について言及されなかった!)
ここでちょっと話は飛びますが、
先日、ミラクルフルーツなるものを初めて食べてみました。
それ自体はほのかな甘みがある程度の小さな赤い実のフルーツで、それほど特徴のある味ではないのですが、その直後に酸味のあるものを食べるとものすごく甘く感じます。ほんとうに驚きました。
このフルーツに含まれるミラクリンという成分の効果です。
レモンなんかまるごとかじることができますし(とても甘い!)、イチゴはイチゴジャムを食べているように感じます。
子供が「これあれば砂糖いらないよね?」と言っていたくらいです。
その時私は「確かにそうだね」くらいに思っていましたが、先の記事を目にした時にもしやと思い調べてみると、実際にアメリカで30年以上前にミラクリンを利用した製品を発売しようとした会社がありました。
ロバート・ハーベイという人が立ち上げたミラリン社という会社です。
『BBC NEWS』の記事によると、アメリカ食品医薬品局(FDA)へ製品の認可を申請した当初はその関係もスムーズにいっていたものの、その後突然ストップをかけられたため彼の会社は倒産してしまいました。
業界からFDAに何らかの圧力がかかったのではないかともみられています。
業界団体やFDAはこの件での取材には応じていないようです。
疾患としての虫歯を減少させるためには公衆衛生政策はとても重要な鍵になります。
純粋に科学的、医学的なアプローチだけで事が進めば、もっと早い時期にアメリカだけではなく、世界の虫歯は減少していたかもしれません。
歯科医師の立場から考えると、砂糖の摂取をある程度制限することは必要と思いますが、ゼロにすることはやはり現実的ではありません。
その影響を考えて、摂取の仕方や摂取後のケアについてしっかり把握しておくことが大切だと思います。
ちなみに私は甘党です、、、
ツイッターと心臓病
2015年02月27日
ペンシルベニア大学で非常に興味深い研究が行われました。
※ペンシルベニア大学 Penn Newsを詳しく見る
ツイッター上のツイートを解析することによって心臓疾患での死亡率リスクが高い地域を予測しようというものです。
アメリカ国内の1,347郡で発信された総数1億4,800万回のツイート中から心疾患に影響すると思われる怒りなどのネガティブな感情や、ストレス、睡眠不足を示唆する内容のツイートをピックアップして年齢別死亡率の予測図を作成したところ、CDC(米疾病管理予防センター)の報告とみごとに一致しました。
怒っている人が多い地域ほど死亡率が高い、ということも言えるでしょうか。
※図はPenn Newsより
日本国内でも自然災害に対する防災にツイッターが利用できないかという研究があるようですが、まさかこのような形で医療もツイッターと結びつくとは思ってもいませんでした。
もちろんこの結果には驚きましたが、これだけ正確な結果が出るということは人々へのツイッター浸透率が相当高いということも示しているのではないかと思われ、個人的にはそちらの方もびっくりという気がします。
論文はPsychological Science誌に掲載されています。
[三軒茶屋の歯医者 歯科なら『原井デンタルオフィス』]
いよいよ?バック・トゥ・ザ・フューチャー
2015年02月02日
1985年に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という映画があります。
主演はマイケル・J・フォックス。
彼がデロリアンというスーパーカーみたいなタイムマシンに乗って活躍するSF映画です。
この映画は大ヒットし、シリーズが3作品制作されました。私も公開当時の印象が強く残っています。
映画そのものもエンターテイメントとして良くできてきますが、実は私にとって内容よりもインパクトが強かったのが、アメリカのロックグループ、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースによる主題歌「パワー・オブ・ラヴ」の方でした。
当時はインターネットも存在せず、今のようにYouToubeで気軽に映像を見るなどということはできませんでしたので、彼らが来日してテレビの歌番組(たぶん夜のヒットスタジオ)に出演した時にはかじりつくように見たのを記憶しています。
このバック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ2作目の舞台が、まさに今年の2015年なのです!
映画には当時考えられた未来の様々なアイテムが登場しますが、その中に「自動的にひもが締まるスニーカー」というのがありました。どうやらこのスニーカーをナイキが今年中に作成するようだという話があります。
ナイキはこの「自動靴ひも調整システム」に関する特許を既に2009年に出願、2014年に取得しています。
本気度高いと思います。すっかり“未来な”感じですね。
そういえば、この“いつのまにか未来になっちゃった感”、
2001年に映画「2001年宇宙の旅」の再上映を見た時、さらに2003年に「鉄腕アトム」誕生の年を迎えた時も感じました。
次はいつでしょう?
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むし歯が減った!
2015年01月27日
1月23日に文部科学省が2014年度学校保健統計調査の内容を発表しました。
報告書の内容を一部引用してみます。
引用元:文部科学省ホームページ
「むし歯(う歯)」
- 平成26年度の「むし歯」の者の割合(処置完了者を含む。)は、幼稚園38.46%、小学校52.54%、中学校42.37%、高等学校53.08%となっており、全ての学校段階で前年度より減少している。
- 「むし歯」の者の割合の推移をみると、幼稚園は昭和45年度、小学校、中学校及び高等学校では昭和50年代半にはピークを迎え、その後は減少傾向にある。 また、「未処置歯のある者」の割合の推移は、全ての学校段階で昭和23年度の調査開始以降過去最低となっている。
- 「むし歯」の者の割合を年齢別にみると、9歳が59.84%と最も高くなっている。また、処置完了者の割合は、8歳以降未処置歯のある者の割合を上回っている。
「12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯(う歯)等数」
中学校1年(12歳)のみを調査対象としている永久歯の1人当たりの平均むし歯 等数(喪失歯及び処置歯数を含む)は、前年度より0.05本減少して1.00本となり、 昭和59年度の調査開始以降ほぼ毎年減少し、過去最低となっている。
この報告から、中学1年生(12歳)の一人平均むし歯数では、調査が開始された30年前のほぼ5分の1にまで減少していることがわかりました!
予防への意識が年々浸透していると思われます。
しかし、実は、本当に気をつけたいのはこの後なのです。
次のグラフ(引用元:文部科学省)を見てください。
このグラフを見ると、10歳から12歳にかけては、乳歯から永久歯への生え変わりの時期なので、見かけ上はむし歯が減っていくように見えます。
しかし、12歳を過ぎるとむし歯のある者の割合がまた徐々に増えていきます。
この時期には、親が子どもの口の中を見ることは少なくなり、さらに加えて、中学生や高校生は勉強や部活動などで忙しいため、定期検診で歯科医院を受診することが難しくなります。
そのため、知らず知らずの間にむし歯ができてしまうのです。
長期的なむし歯予防を考えると、正にこの時期、永久歯が生えてまだ間もない時期が重要です。
ぜひ、フッ素塗布やシーラント(歯の深い溝をコーティング剤で埋める処置)などの予防処置や定期検診を受けましょう!
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2015年あけましておめでとうございます
2015年01月06日
新年あけましておめでとうございます。
やはり新しい年のスタートは身が引き締まりますね。
私の今年のキーワードは“チャレンジ”です。
私個人の臨床能力アップだけではなく、原井デンタルオフィスのチーム力アップを目指したいと思います。
今年も宜しくお願い致します。
[三軒茶屋の歯医者 歯科なら『原井デンタルオフィス』]